今宵、曇天の空に浮かぶ月・・・雲に霞んでぼんやりと川面を照らし、照らされた水面には一本の筋が揺れていて、ひときわ瞬いて存在感を示している。
場荒れを避ける為、キャストを控え、時合を待ちつつ、川の様子を伺っているのだけれど、今のところベイトは動かないし、ボラも跳ねないし、無論ボイルも起きない・・・静かだ・・・(苦笑)
なんだか少し不安になり、「水色でも確認しとくか・・・」と少し離れた水辺を照らしてみれば、気持ち良いくらいにクリア!まあ・・・ささ濁っていてくれるのが勿論ベストなのだけれど、これはこれで「魚もルアーを発見しやすかろう!」と前向きに捉えつつ、やや繊細でスローな展開を覚悟する。
この日の釣行で試したのは、間もなく発売となるメガバスの新作ミノー「X-80 MAGNUM SR」!
ジャークベイトの名作 X-80 のボディ形状と、その独特にナチュラルで「ベイトライク」と称されるアクションを、ソルト仕様に拡大したボディサイズで実現する事で、魚種を問わない爆釣ミノーとして活躍しているX-80 MAGNUMに新たに追加されるシャローランナー仕様!
新設定された独特なリップ(=ワイド・ベンド・ビル)で強制的に潜行深度を浅くとり、シンキング仕様であったX-80 MAGNUMに対し、フローティング仕様となったSRは、上記独自形状のリップに、フローティングによる浮力も相まって、より一層のハイピッチロールアクションを実現!水面ちょい下の「水噛みのゆる~い」レンジを、小気味良く活き活きとボディサイドを揺らしつつ泳ぎ廻ることが可能!
そんな「キビキビとよく動く」X-80 MAGNUM SRを、今宵ハイジーズンな秋の、一見静かでジンクリアな川面に、試しがてら投げるわけですが・・・
流れに対しダウンクロスで挿し込み、タダ巻きにてスピーディーに、自慢のハイピッチロールアクションを周囲に振り撒いたキャストは無視・・・。
まあ上記の通りの状況と水色だったので、ほぼ予想通りな展開として、ならばとクロスキャストに替えて、ゆったりと流れにX-80 MAGNUM SRを同調させ、ロールアクションをやや抑え、プルプルと静かにとボディを震わせる程度のイメージで、X-80MAGNUM SRを流し込むように泳がせたところ・・・「グン!!」と吸い込むような感触のバイト!?
素直な吸着感に対し、スイープなフッキングを見舞ってみたところ、そこからは一転!?乱暴なヘッドシェイクが始まり・・・強引な単発ダッシュが連打され・・・MLパワーのCookai CK-92MLSがグイグイと絞られるのを楽しみながら、無事ランディングしてみれば・・・釣れたのは、最近お馴染みのヒラフッコさん♪
富士川では恐らく「はじめましての初対面」と思われるX-80 MAGNUM SRを即気に入ってくれたもよう♪(笑)
釣果を得た事で、一見静かで、何事も起こっていないかのように装っている川面は一気に怪しさを増し・・・再び落ち着きを取り戻した川の流れと、正々堂々に澄んだ水に対し、違和感を与えないように、再びX-80 MAGNUM SRを静かに流れにクロスで着水させ、
川の流れに馴染むように、しっとりと流し込む・・・
すると先刻のヒット位置より下流側、X-80マグナムSRの独特なリップが掴む水勢が緩くなったかなと勘ぐった瞬間・・・
「ジ・ジ・・ジジジー!?」と突如ドラグが鳴り出し、アタリらしい挙動を感じる間も無くバイト!?
さすれば即座にリールで巻き合わせしつつラインテンションを張った後、ドラグを締めつつ、ゆったりと大きくCookai CK-92MLSを曲げるようにスイープな追いアワセを見舞う!
すると違和感に怒った魚は流れに乗って一気に走り出し、沖の深みまで走ったところで急浮上し、激しくエラ洗い!?真夜中の暗い川面に水飛沫が白く飛び散り、一瞬消えたドラグ音が再び勢い良く鳴り始めれば、フックセットの良さが伝わると共に、X-80 MAGNUM SRが、フィッシュイーターが好む、ハチマルシリーズ伝統のベイトライク(=餌っぽさ)を実装していること改めて実感する。
ひとしきり元気なダッシュを連発して楽しませてくれたのは、75cmのシーバスさん!
流速のちょっぴり緩い側に陣取っていたのは、ヒラスズキに変わって、少しサイズアップしたマルスズキさんでした♪
尚、こちらも「はじめまして!」となるはずですが、やっぱり何の抵抗も無く、すんなりとX-80 MAGNUM SRを気に入ったらしく、がっつりとバイトしてくれておりました!(笑)
今回実釣でX-80 MAGNUM SRを使用し、真っ先に感じた印象は、「よく動く」シャローランナーだという事。X-80シリーズは伝統的に小気味良くロールアクションする設定ですが、前述の通りX-80 MAGNUM SRは、特徴的なリップ形状とフローティング設定が効いているらしく、アクションのツキ(=始動)・ロールのキレが明らかにいい。
どちらかというと緩慢な動きになりがちで、むしろそれが魅力とも思えるリップレス系のシャローミノーと比べると、かなり「動く」シャローミノーと言えるでしょう。
そこで「より動く」という性能が、シーバスにとってどうなのかと言えば・・・恐らく「使用する状況によってプラスにもマイナスにも働く」という結論になろうと思え・・・
現に今回の実釣では、明確なロールアクションよりも、敢えてロールを抑えた使い方が功を奏した感じとなったわけですが、これは、その時々の釣り場状況(濁りの有無・ベイト量の多少・魚側の活性等)で変化するもので、常に一長一短あるものと思われる。
その中でひとつ特徴的に有利だなと感じるのは、「よく動く」ミノーというものは「よく動ける」のであって、別に「スローに動けない」わけでも「ゆったりと泳げない」わけでもないということ・・・そう!むしろ可能なアクション挙動のキャパは広く、使い手次第で場面に応じて、いくらでもその強弱は味付けが可能!即ち、対応状況の広いミノーだと思います!
リップ付ミノーの醍醐味ともいえるアクションレスポンスの良さからくる使用感の分かり易さ!それに実際リトリーブしてみれば、お分かりいただけるのだが、アクションのキレの良さからくるのであろう、リトリーブの心地よい軽さ!高速巻きでも巻き抵抗を軽く維持したまま、全く挙動が破綻せず・水面を割る事無く、ひたすら水面ちょい下の美味しいレンジをキープし続ける優れたスイミング性能!そこにX-80 MAGNUMを継承し搭載されたトリプル・タングステンボールの重心移動システムが安定したロングキャストを約束!
メガバスには既にKAGELOU124Fという、タダ巻くだけでオートマチックに揺らぎ、魚を誘う優れたリップレス系シャローミノーがありますが・・・使い手の要求に応じて、フィッシュイーターから逃げ惑うようなキビキビとした泳ぎから、瀕死で震えるように流れ落ちる様まで、リトリーブの強弱を用いてマニュアルに演出できるX-80 MAGNUM SRは、構造も性格も、ある種対極をなす存在であり・・・シャローランナーとして面白い住み分けになっていると思います!
この秋の本格シーバスシーズンの真っ只中に爆誕するX-80 MAGNUM SR!是非お試し下さい!
【使用タックル】
リール 3000番
ライン PE 1号 + ナイロン25lb