サーフキャスティング用ミノーの常識を覆す、これまでにない新たな可動ウエイトシステム、LBO(Linear Bearing Oscillator)が、この度メガバスから発表されます。このLBOとはどんなシステムなのか、またLBOを搭載したルアーの特徴とはどのようなものか、を開発部のフィールドテスト風景とともにご紹介致します。
伊東社長が創業時、今から20数年前、遠州灘のガイドをやっていた時代、シーバス用のミノーとして作っていた「マリンギャング」が、最新技術を搭載して現代に蘇る。その最新技術「LBO」について、深く掘り下げていこう。
伊東 LBOを説明するまえに、開発経緯についてお話します。メガバスオーシャンの開発部門では、サーフキャスティング・ミノーとして一番の課題である「飛距離」について、とにかく飛ぶルアーを作ろうという企画を検討していた。本社のメガバスオーシャン開発チームからは、僕が創業時に爆風の難所で有名な遠州灘のサーフや、天竜川の河口域で、当時絶大な釣果をあげていた「マリンギャング」を現代に蘇らせたい、と要望がありました。
飛距離に関しては、ただ重くすればいい、という事ではない。いかに良いアクションが出せるセッティングの範囲内で飛行バランスを生み出す事が出来るか。開発チームは、ボディ形状と、ウエイトバランスに関して膨大な数のプロトを作成し、サーフでの試投に明け暮れていました。
伊東 LBOの特徴は、ウエイトの可動がもの凄くスムーズな事です。これまでの可動ウエイトシステムは、ウエイトがルアー内部に接しているため、その抵抗値の高さによって運動エネルギーが大幅に損失していました。その抵抗を限りなく少なくすることで、キャストの瞬間、ウエイトを加速させて運動エネルギーを高めて、ルアー後端まで瞬時に移動させ、その質量をルアーに瞬時に乗せることで爆発的な加速力を得る事ができました。
開発チーム LBOのウエイトの内側には、直径0.8mmのボールベアリングが88個内蔵されており、無限循環運動するよう設計されています。シャフトとウエイトが点接触し、かつボールが回転するため、摩擦係数0.01という驚くべき低抵抗値が実現できました。
開発チーム LBO非搭載のルアーと搭載ルアーとでは、平均して約20%の飛距離の差が出ています。これまで60メートル飛んでいたとすると、70メートル以上飛ぶ事になります。体感的にもその差は大きいですね。
開発チーム ルアーが着水した際、ウエイトが瞬時に前方向へ移動することで、瞬時に泳ぎ出せます。従来のシステムでは、ルアー着水後、リトリーブを始めてルアーが前方向に10度以上傾いた時点でようやくウエイトが移動するのですが、新システムでは、3度の傾斜があればウエイトが移動します。つまり、リトリーブを始めた瞬間から、きちんと泳ぎ出してくれます。
様々なコンディションでテストを行いましたが、重心移動のトラブルはありませんでした。少々波が高い状況でも安心してリトリーブできます。
あとは、構造的にタフなところですね。このシステムは精密機器にも利用されていますので、耐久性も考慮されています。直線距離に換算すると、なんと12億キロメートルという、現実味がないほどの長距離移動が可能な構造ですので、安心して使えます。
── 今後の展開は?
伊東 LBOは、現代に蘇る「マリンギャング」と、ヒラメ用シンキングミノー「フラットバッカー」の2アイテムに搭載します。泳層的には、マリンギャングが表層~1m、フラットバッカーが約1.5~2m。どちらもサーフキャスティングで圧倒的な飛距離が出せる仕上がりです。現在、最終調整を終え、量産工程にはいりつつあります。リリースまであと少しお待ちください。
※当記事に掲載しているLBOシステムは特許出願中です。