港湾、磯、干潟などを舞台に、繊細かつ豪快な駆け引きを楽しませてくれるチヌ(クロダイ)。6月以降の夏場は、トップウォータープラグを用いた水面攻略も開幕し、ますます楽しみだ。最盛期を迎えるにあたり、チヌゲームの基本ルアーセレクトを確認しておこう。
爽やかな風が吹く初夏を過ぎ、気温、湿度ともに上昇してくると、いよいよチヌゲームも本番を迎える。メガバスの地元であり、クロダイ、キビレの名釣場として知られる浜名湖でも良型の個体が浅瀬に入り、干潮時には干上がってしまうほどのドシャローで盛んにエサを追い回すようになる。ただ、シャローに定位していても水面に出るとは限らず、トップウォータープラグには目もくれずにボトムの砂をつついていることもしばしば。そんな気難しさを持ち合わせていることもチヌの特徴であり、浅い水深のなかでシビアなレンジゲームを組み立てる面白さがある。
チヌの食性は幅広く、エビ、カニなどの甲殻類を主に小魚、多毛類(ゴカイ、イソメ)、貝類と多岐に渡る。浜名湖では盛夏の一時期、近隣の林から飛来するセミを捕食することも知られており、メガバス社CEOの伊東由樹は、いわゆる虫パターンとしてのポッパーゲームを古くから実践していたという。チヌを釣る際にはそうしたベイトの傾向や時間帯を考慮し、その場に合ったルアーをチョイスすることがヒットへの近道なのだ。主なゲームパターンは次の通り。
●トップウォーターゲーム
これからの季節に楽しみなのが、チヌを水面に誘い出すゲーム。メガバスでは元祖・クロダイポッパーのポップX SW、ベビーポップX SWを経て、現在はチヌ専用に開発されたポッピングダックを展開中。また、淡路島ではペンシルベイトのジャイアントドッグXもチヌ用トップとして実績がある。いずれもチヌの好むアクション、スプラッシュ、ポップ音を装備しており、誰もが手軽にチヌゲームの興奮を味わうことが可能だ。また、nadaからはペンシルベイトのクロウ、シングルスイッシャーのセッターも参戦、あらゆるシーンに対応する鉄壁の対チヌ・トップウォータープラグを用意している。
トップウォーターゲームのキモは、ルアーを派手に動かし過ぎないこと。ポッパーなら小さな移動距離と控えめなスプラッシュ音で軽やかに。ペンシルベイトなら左右に小さく首を振らせながら誘う。捕食がうまいとは言えないチヌが確実にバイトできるアクションを心掛ければ、水面炸裂シーンに出会えるはず!
荒牧伸弥のワンポイントアドバイス「キビレとマチヌの違い」 キビレとマチヌは性格が異なる。キビレはルアーへの好奇心が強く、チェイスやバイトも多い。特にルアーにアタックしてきた時にはビックリアワセなどしがちだが、あわてずロッドに重みが乗るまでフッキングしないこと。また、同じ魚でバイト1回とはかぎらない。経験からはおおよそ3回まではバイトチャンスがあるので、いかに冷静に釣りができるかがキーである。 一方マチヌはイワシなどのベイトがいるとルアーへの反応がすごくよくなる。 キビレと比べ、ルアーをよく見てバイトしてくることが多いので、アプローチは丁寧に、めりはりをつけたアクション(食わせの間など入れる)が釣果UPにつながる。 |
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荒牧伸弥のワンポイントアドバイス「トップゲームの出しどころ&裏ワザ」 キビレの場合は水はクリアで晴天ピーカン潮止まり。一見ソルトシーンにおいては釣りにはむかないタイミングといえるかもしれないが、意外に潮止まり時はチャンスである。活発にエサを追うような状況より、浮いてなんもしていないような状況の方がトップに反応しやすい気がする。こればかりは地域性が大きくでるので、なんともいえない部分も正直ある。また、マチヌは冒頭にもお伝えしたようにイワシなどのベイトの存在が大きい。そのためイワシの回遊などがあればチャンスと考えていい。 |
●クランキング
チヌがボトムのベイトを捕食しているときや、ナイトゲームでは、クランクベイトタイプのルアーでボトムを小突く釣りが面白い。甲殻類やハゼなどをイメージしてボトムをトレースするのだが、砂地ならまだしも岩や牡蠣殻が点在するポイントでは根掛かりが待っている。そこで登場するのがクロダイ専用小型クランク・ピークスだ。一口サイズのボディに長いリップ、テールのワンフックという仕様はスナッグレス効果抜群。低重心・スローシンキングの比重も相まって、足場の高いポイントでもしっかりボトムを攻めきることが可能だ。
荒牧伸弥のワンポイントアドバイス「クランキングの注意点」 ピークスが一番活躍するであろうポイントはズバリ、濁りとハードボトムがリンクするところ。普段、チヌジグなどで釣っているようなポイントで雨後の濁りの潮の動くタイミングに入り、ピークスで広範囲にサーチすれば活性の高い個体から反応してくるだろう。また根掛かりした場合は、ハズした瞬間にバイトチャンスがくることも多々あるので、注意しておこう。 |
●フォーリング
比較的水深のあるポイントで、壁際のエグレや杭など縦のストラクチャーを攻めるときは、スピンテールジグのフォーリングが強い。そんな時はビズラの出番となる。ジグヘッドにタコベイト、そしてブレードが下につくユニークな形状で、引いても落としてもチヌを誘える。橋脚のような独立したストラクチャー周りではフォーリングで落下するカラス貝等を模し、もっと広範囲に探るならリフト&フォールやリトリーブ。発売以来、大型の実績が高いルアーだ。
荒牧伸弥のワンポイントアドバイス「ビズラの有効活用&チューニング」 表層のクロウ、セッター、ボトムにチヌジグとくれば、中層のビズラ。ビズラはボトムよりやや上の層を引くのにも適している。根掛かり多発の牡蠣殻ポイントなどでも有効である。ブレードとタコベイトのアピールは好奇心旺盛なチヌを狂わす。また、ワイヤーとタコベイトの先に瞬間接着剤を1滴たらすことで、安定したスイミングアクションをする。フォールメインの釣りであればオススメのチューンである。 |
●ボトムゲーム
トップにもクランクにもビズラにも反応がなかったら、思い切ってボトムをネチネチとスローに攻めてみよう。このとき頼りになるのがチヌジグだ。チヌジグはシルエットの大きな樹脂ボディで岩の隙間に入りにくく、根掛かりを気にせずボトムをトレースできるルアー。使い方の基本はフォール、リフト&フォール、ズル引きの3パターン。チヌの姿が見えているなら、砂煙を上げながらの一点シェイクも効果的だ。
荒牧伸弥のワンポイントアドバイス「チヌジグのセッティング」 大前提としてトレーラーにワームを装着することをオススメする。これはフックを上向きにして安定させるのと、アピール力アップのためである。甲殻類を意識したクロー系のボトルシュリンプ2.4inなどがオススメ。 飛距離とアピール力で釣果をアップすること間違いなしである。また、ブラックベースカラーが基本ではあるが、クリアな水域であればレッドやピンクブラウン系のカラーにバイトが集中することが多々あるので、カラーはサイズ違いで3色は用意するといいでしょう。 |
●チヌゲーム用タックル
荒牧伸弥のオススメチヌタックル 全てのチヌ系アイテムで扱いやすいのがnadaのスピニングロッドはND762L。 表層、中層、ボトムとどれもバランスよく使える長さと硬さに仕上げているので、迷ったらこの1本がよい。リールは2000~3000番でラインシステムはPE1号+リーダー12~16LBぐらいがスタンダード。これより細くしてもいいが、チヌはハードボトムエリアにいることが多いため、多少強めのセッティングにしておくのがよい。 また、オススメしたのがベイトタックルでのチヌゲームである。 ベイトのメリットとしてピンスポットへのアプローチのよさ、ダイレクト感、操作性のよさがある。特に水面のトップゲームにはND762MC+ナイロン14LBのセットが扱いやすい。的度な柔らかさでチヌが食い込んだ時にしっかり、向こうアワセをしてくれる。是非、この夏のチヌトップゲームにはベイトタックルでチャレンジしてもらいたい。 一方のチヌジグやビズラなどの中層やボトムストラクチャー狙いの釣りにはND702LCが扱いやすい。ベイトフィネスコンセプトのロッドのため、近距離戦のアプローチ良し、小さいバイトも拾えて良し、ファイトも楽しめて良しの仕上がりとなっている。 あらたなチヌゲーム幕開けにこのロッドの進化を感じてほしい。 |