「New KNUCKLE」
世界初の2段階リップであるFXシステムを導入し、
1つのルアーで2つのレンジを攻略できる
システムクランクとして発売されたKNUCKLEシリーズ。
1つのルアーで2つの役割を担うという、
夢のようなアイデアから製品化されたシリーズですが、
トーナメンターの立場となって考えると、
状況や経験から導き出された、
「狙ったレンジ」というのが存在し、
そこで最高のパフォーマンスを発揮させるということが、
非常に重要な要素となってきます。
そこで、
KNUCKLEシリーズのレンジ特化型モデルを
競技仕様として試作。
新しい技術を使いながら様々な必要要素をプラスし、
大きく分けて3つのポイントについて、
ブラッシュアップを施してきました。
まず1つ目が「アクション」。
よりハイピッチにキレのいいアクションを生み出すために、
サーキットボードリップを採用しました。
板の厚みは、0.6mm。
薄いと思われるかもしれませんが、
必要最低限の強度を兼ね備えながら、最高のアクションを出せる
絶妙なセッティングを施しています。
2つ目が「プレッシャー」。
ハイプレッシャーフィールドが多いトーナメントレイクにおいて、
プレッシャーを与えずにより多くの魚を引きだす、または、
プレッシャーを与えられた後に魚を引きだす事は
決して容易な事ではありません。
代表的な要素としては、
「音」によるプレッシャー。
サイレント仕様にして、ウェイト(ルアー内部のおもり)を
プラスチックの棒や壁によって固定しても、
少しの隙間が生まれ、ごく小さな音が発生してしまいます。
そこで、少しでもプレッシャーを与えないよう、
ルアーのウェイト音をサイレント化しました。
採用した構造は、「S-CRANKシリーズ」で開発した、
プラスチックの反発力を使ってウェイトを固定する方法。
「周りを囲む」だけだったウェイトの固定を、
「押さえつける」という方式で固定し、
ウェイトの揺れを完全に排除しました。
そして、3つ目が「バラシ」。
手返しよくサーチしても、見つけた魚をバラしていては、
せっかく掴んだチャンスを棒に振ってしまいます。
少しでもそういった可能性を減らしたいという事で、
フロントフックのアイをスイベル化しました。
フックの可動域を上げることで、魚への追従性がアップ。
暴れる魚にフックの方向が同調し、余分な負荷を軽減。
さらに、ルアーアクションからフックへの影響を減少し、
ブレの少ないフックポイントを実現。
フッキングのパワーがフックへと伝わりやすくなりました。
こうして出来上がった競技仕様の「New KNUCKLE」は、
一つの武器として、トーナメンターの皆さんと戦っています。
要望に対してルアーをブラッシュアップしていくという経験は、
日頃の開発業務とは違い、非常に有意義な経験となりました。
まだ発売などは決まっていませんが、
いつかみなさんにもこういった技術の詰まったルアーを
使って頂けたらなと思います。