みなさんこんにちは。
東京湾奥エリアの加藤です。
今回はMegabassのシーバスロッドのお話しです。
以前、ASTELION(アステリオン)シリーズについてはこのブログにか何度か書きましたが、今回は生粋のシーバスロッドである『SHADOW XX(シャドウ ダブルエックス)』のインプレッションです。
夏から晩秋の数ヵ月、『SHADOW XX SXX-87ML』を湾奥の河川や運河、港湾やオープンエリアといった様々なシチュエーションでシーバスのメインロッドとして使用しています。
外観は、カーボンやシャンパンゴールドのパーツ、ヴァイオレットを基調としたスレッドがアクセントになっていて、バットやハンドル部のブランクスにはブルーラメが散りばめられ、派手過ぎず地味過ぎないバランスの良いデザインです。
実釣でのキャスト性能は、1投目からハッキリと分かるアキュラシー精度の良さを感じる事ができたのは数ヵ月経った今でもハッキリと覚えています。
無風時なら、数十m沖の視線の先のピンポイントへかなりの精度で着水させることができます。(個人差はありますが)
僕は釣りの最中によく、沖目を流れてくるゴミをマトにして狙ってキャストするという遊びをしますが、その遊びの中でもアキュラシー精度が高いことが分かります。
動いている標的なので数投に1回程度しか命中はしませんが……。
また、小場所などで立ち位置の周囲に障害物がありロッドをテイクバックできない場合にもアキュラシーの良さを体験できます。
狭いスペースで、アンダーキャストやサイドキャスト、頭上で弧を描いたり、頭上や前方で8の字を描くショートストロークのキャストしか出来ないうえに、それなりの飛距離を出さなければならない様な小場所でも狙いのピンに高確率で着水させることができます。
これは、ネジレ剛性やネジレに対する修復力の高さを物語っていると思います。
前後方向の往復動作を行う直線的なキャスティングではなく、8の字や弧を描くことで遠心力を作ってロッドを曲げるキャストにおいては、ベリーからバットをひねる為にブランクスにネジレが発生しやすくなるのですが、ネジレが起きにくい、またはネジレの修復が早いのがマトリックスブランクスの特長であり、アキュラシーの精度を高めてくれる理由なのでしょう。
アキュラシー精度が良いと、着水点が1mズレるとシーバスがバイトしてこない様なシビアなポイントでは強い武器になります。
また、秋のオープンエリアでは飛距離が大きなアドバンテージとなることは少なくありませんが、9f~10fのロングロッドが主流のオープンエリアのイワシ着きシーバスや青物狙いにおいても、僕はSXX-87MLで劣勢を感じることはありませんでした。
(大規模河川やオープンエリア限定での使用ならSXX-96MLやSXX-100Mの方が、より飛距離は望めると思います)
ティップはしっかりとハリがあり感度が良いのですが、ティップ後半からベリーにかけては『しなやかさ』が顔を出します。
これは繊細なバイトは明確に感じつつも、シーバスがバイトした直後にロッドがスッと入る(曲がる)為にバイトを弾き難く、またシーバスにも違和感を与え難くしているようで、ルアーを瞬時に吐き出そうとしないのでしっかりと深いアワセが決まりやすいのです。
最初は、ルアーの進行方向に魚が進みつつ反転しない捕食をしているのでテンションが抜けるように感じるのだと思っていましたが、イナッコにボイルするシーバス、居着きシーバス、河川の流れに着くシーバス、オープンエリアのイワシ着きシーバスや青物、カマスやタチウオといった様々なシチュエーションや魚種でも同様のフィーリングを感じることが出来ているので、魚がバイトした直後にロッドがスッと入る事でバイトを弾き難い、そして魚に違和感を感じさせにくい特性であることは間違いなさそうです。
ちょっと不思議な感覚ですが、ルアーを早巻きで引いている時には、ティップ後半からベリーにかけて曲がっていてもしっかりと感度があるのですが、魚がバイトした瞬間的に明確なバイトが有るにも関わらず、同じベリーセクションが曲がっているのに、ほんの一瞬ですがラインテンションが抜けて(バレて)しまったように錯覚するのです。
この時すでにアタリを感じてアワセの動作に入っているので、実際には魚はバレてはおらず次の瞬間にはドンッとバットに重みが乗ってヒットに至るのですが。
それなりに経験値のあるアングラーでもテンションが抜けたと錯覚してしまうくらいなので、シーバスがバイト直後に違和感を感じにくく、しっかりとアワセを入れることができるのが、バラシ難い理由の1つではないかと思います。
次にバットですが、8f台のMLロッドとしてはかなりバットパワーは強いです。
ただ、強いといっても硬いという訳ではなく、引きの強さに追従するようにしっかりと曲がる粘りを持っています。
夏~秋のパワフルなシーバスにも力負けすることはありませんが、シーバス自らのパワーで身切れバラシの多い季節なので、強引に巻かずに魚の動きに追従するロッドに任せて、少しだけ腕や手首をしなやかに動かすロッドワークを行う事で、このロッドの良さを更に引き出す事ができます。
シーバスの引きに対して、バットはグングンではなくヌンヌンというイメージで追従するので、シーバスが必要以上に暴れることが少なく、派手にエラアライを連発してバラシてしまうということが非常に少ないのをこの秋の釣りで体験しました。
実際にハイシーズンに『SXX-87ML』でヒットさせた9割近くのシーバスをキャッチ出来ています。
少ない釣行回数や短時間での釣果を支えてくれていたのがSXX-87MLなのです。
根擦れの心配がないポイントなら、しっかりとアワセを入れた後に少しドラグを緩めてソフトなやり取りをしてやることで魚を派手に暴れさせずにキャッチすることが出来るはずです。
また、ロッド操作でルアーを操るトップウォーターやミノーの釣りもかなりやり易い印象を持っています。
ルアーにアクションを入れる際は、硬すぎないしっかりとしたティップによりメリハリのある入力が可能で、また適度なハリもあり軽い負荷に対する曲がりの修復も早いのでキッチリとラインスラッグを作る事ができる為、リズミカルなアクションを続けやすいのです。
総評としては、東京湾奥において様々な釣り場や釣り方に対応できる、かなり高い汎用性を持つバーサタイルロッドです。
余談ですが、個人的に特に興味があるのは負荷の掛かる強さや質によって特性が可変する様に感じるベリーセクションです。
例えば、レーシングマシンのサスペンションは荷重の強さや質(加減速Gや横G、左右の切り返しや路面のギャップ通過)によって同じサスペンションのストローク域でも特性や圧力を繊細に変化させ個別にセッティングを行う事ができるのですが、SHADOW
XXのマトリックスブランクスにはそんなレーシングサスペンションの可変する特性を持っている様な印象を持ちました。
高性能サスペンションの様に調整機能などは付いていない1本のカーボンブランクスなんですけどね。
ただ、これはアングラーの感覚的なフィーリングの感じ方なので、機会があればMegabassのロッドファクトリー・エンジニアに色々と聞いてみたいと思います(可能な範囲内で)。
現在、SHADOW XXシリーズは、湾奥エリアの釣り具屋さんでは、手にする機会も少ないと思いますが、興味のあるアングラーさんはフィールドで僕を見掛けたら気軽に声を掛けてみてください。
SXX-87MLを使っている時なら試投して頂く事も可能です。
魚を掛けて初めて真価を発揮する部分の性能は試投だけでは分かりませんが、キャストフィールやその他の個性は感じることが出来ると思いますよ。