今日は第5回。【時合い】の話しです。
初めての場所でどうやって【時合い】を読むのか?
これはアングラーの経験値がそのまま必要になる項目だと思います。
そもそも【時合い】って何なのか?
シーバスの活性が上がるタイミング。捕食スイッチがオンになるタイミング。
シーバスがそのタイミングを狙って接岸する。
僕は【時合い】をそのように考えています。
初めての場所でも【読める時合い】もありますし、もちろん【読めない時合い】があります。
その辺を書いていきましょう。
僕の東京中日スポーツ新聞での連載をご覧の方はこの手の話に新鮮味がないかもです(^^;)
■ 読める時合い ベイトの移動 ■
●シャローのベイト
シャローに居るベイト。潮位が下がるにつれて水がなくなりその場に居続けることが出来なくなります。
ある一定潮位を下回ると移動をせざる得ません。
その時をシャローから深みに続くブレイクでシーバスは待ち構えています。
『どのくらい水が減ったらベイトは居づらくなるのか?』
タイドグラフで現在の潮位・あと何分で水位は下がるのか?はある程度予測できます。
このタイプの時合いは護岸河川やサーフ、磯でも起こる【時合い】です。
*河川上流部の場合、海のタイドグラフとは時差があります。
観測地点からの距離で満潮時刻にどのくらいの差があるのか?を考慮する必要があります。
●干満のベイトの移動
イナッコボール・サッパやコノシロなどなど、
多くのベイトが満潮では中流にいたものが干潮では下流域へ~と行った具合で移動します。
(淡水順応を終えた鮎はそれほど移動しない)
僕は恐らく塩水クサビとかが関係しているんだろうな~と想像しているのですが・・・・
例)同じ場所で釣りをしていると潮位が下がってきたら(上がってきたら)急にベイト量が増えてシーバスの捕食音とか聞こえ始めた。
これが干満によるベイトの移動での時合い。
近くにいたシーバスのスイッチが入ったのか?ベイトの群れに着いてシーバスの群れが移動しているのか?
どちらが真相かは分かりかねますが、潮位の増減で上流・下流へと移動するベイト群の到来で訪れる時合いです。
サーフや磯でも起こり得る現象ですが、海の場合は上流・下流ではなく接岸・離岸であり、初場所ではマズメ時を除いては僕はそのタイミングは読めません。
■ 読める時合い 流れの変化の発生 ■
最初に挙げた【時合い】に似るものではありますが・・・
潮位が高い時には水中に没している凸型の地形変化。
岩であったり何かの工事の基礎コンクリートであったり、テトラであったり。
潮位が高い時にはこれらの地形変化の上を水が流れていますが、
ある程度潮位が下がってくるとストラクチャーが露出し始めます。
するとこれらの上を通れていた水が側方のへと迂回するようになり流れのヨレや反転流が発生し始めます。
僕のホームグラウンドの相模川の場合は、こういった『流れの変化の出始め』で
【時合い】を迎える事が多いように思いますが、全国規模で見ると必ずしもそうではなく
『流れの変化が発生した以降』にその変化にシーバスが着く、その様に感じます。
いずれにせよ、こういう地形変化は潮位変化による【時合い】が発生し易いので遠征先では
『どのくらいのタイミングで変化し始めるのか?』を常に意識して見て回る様にしています。
また、この様な変化は満潮時には水中に没している中洲的な地形にも言える事で、
一番初めに書いた『ベイトの移動』とも重なります。
『ベイトの移動』+『流れの変化』のタイミングは相当期待が持てるので、
ベイトが確認できた際はタイミングを測って狙う事の多い【時合い】です。
■ 読める時合い 朝・夕マズメ ■
どんな場所でも一番分かり易い時合いが朝と夕方のいわゆる『マズメ』ではないでしょうか?
しかしこの『マズメ』、朝と夕方それぞれ2回タイミングがあるのをご存知ですか?
多くの人が『マズメ』と呼んでいるのって空が薄らと色が変わり始めた時間帯。これを【常用薄明】といいます。
この【常用薄明】の前にもう一段回『マズメ』があって(夕方は常用薄明の後)それを【天文薄明】といいます。
空の色だけでは人間の目には分からないですが、空の色が僅かに明るくなり始めることによって六等星が見えなくなる時間の事で【天文薄明】と言います。
釣りの現場においては朝の天文薄明は磯やサーフゲームで【時合い】の入りを感じることが多く、夕方~夜にかけての天文薄明の【時合い】は川や河口で感じることが多いです。
磯でマルやヒラ狙っていて朝マズメ前の空の色が変わり始める前にパタパタっと釣れる事ありません?
あくまで個人的な感覚ですが、
この時食ってきている魚って明るくなり始めてから食いが立つ魚と別の群れと感じています。
また夕方~夜にかけての天文薄明。この【時合い】を最も感じる釣りが川のウナギ釣り(笑)
まあこれはウナギの習性と釣り人の習性から成す時合いの可能性も否定できませんが、
とにかくこの天文薄明の時間に圧倒的にアタリが集中します。
■ 読めない時合い 潮の呼吸 ■
前に2回ほど当ブログでも書きましたが、自然の潮ってタイドグラフ通りには動いていません。
タイドグラフではこんな感じですが、実際は・・・
この様に流れが走る時間帯と緩む時間帯があります。
この緩んだ瞬間、走り始めた瞬間が【時合い】になり食いが立ちます。
僕は↑このような現象を『川の呼吸』『潮の呼吸』なんて呼んでいますが(鬼滅の刃の前から僕はこう呼んでいたということを強く主張します(笑))
こればっかりはドンピシャのタイミングってのは地元の湘南エリアであっても読めません。
しかし気圧が高く海が穏やかな日は、干潮の潮止まり直前1時間~30分前辺りで一気に下げ潮が加速するタイミングが来ることが多いです。
このタイミングだけはタイドグラフ上で読みやすい【時合い】と言えるかもしれません。
■ 読めない時合い その他のほとんど ■
上に書いたタイミングが初めての場所でも想像できる【時合い】であり、
その他の事象って初めての場所だと分かりません。
現場で流れが加速する時間を実際に見ないとわからないし、
上げ潮で逆流するのか?どのエリアまで逆流するのか?(潮が差すのか)
ましてや目視の効かない水深のある場所で起こる【時合い】なんてものは知る由もありません。
地元や何度も通える場所ではそういう水深ある場所の【時合い】の探求も面白い課題なのですが、
初場所ノーガイド・ノー情報の遠征では、
《分からないことを知ろうとする必要はない》
と割り切ることも釣果にたどり着く為には非常に重要になります。
しかし思ったようにシーバスからの反応が得られずに時間が経過していった場合、
《分からなくても探索せざる得ない》 と方向転換を迫られる場面も多々あります。
その時にどこで方向転換するのか?この線引が【ゲームプラン】であり、
遠征釣行で【とにかく1本】の成否を分ける所となります。
次回は【ゲームプラン】の話をしていきます。
ここまでシリーズでシーバスを釣る為に抑えておきたい基礎知識を書いてきましたが、
見る角度を変えると新鮮に感じたこともありませんでしたか?
遠征じゃなく普段の釣りでも参考になれば幸いです。
あ、当ブログをご覧の日本海側の方。今回のブログで言いたいことは分かっていますよ♪
『日本海側は干満差そんなにないんですけどぉ!』ですよね(^^)
それを考えて戦略を組むのが【ゲームプラン】です。
■ おまけのタイドグラフの話 ■
皆さんスマホでタイドグラフを見ると思いますが、どんなの使っています?
スマホの普及とともにアプリとしてタイドグラフを入れている人が多いと思いますが
スマホアプリでたまにあるのが相対値表示のタイドグラフ。
潮の動きが見やすいように・・との配慮かもしれませんがあまり干満差のない潮でもグラフが凄く大きく波打って表示されるやつ。要はグラフの縦軸が場所や日によって変わっているんですが、、
満潮・干潮を知る程度ならこれで十分なんですが、【時合い】の探求をする場合は絶対値表示のタイドグラフの方を僕はオススメします。(昔ながらの表示のやつね)
というのも、動いてない潮を(相対的には動いている)を潮が活発に動いているように錯覚してしまうと、
ありもしない時合いを探してしまう可能性も。
また絶対値ならタイドグラフ上で分かる【時合い】を見逃すこともあります。
書き始めるとめっちゃ長くなるのでこの辺の話題はまたの機会にしたいと思います。
久保田氏のブログはこちら