無垢な流れのままに ~ GREAT HUNTING 50 FlatSide ~ | Megabass-メガバス

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無垢な流れのままに ~ GREAT HUNTING 50 FlatSide ~

ザックに普段使いのウェーダーとウエストベルト、それにケースで保護したリールとフィッシングベストを無造作に詰め込み、脇にはポスターケースを流用して自作した簡易バズーカを。
一番頼りの地形図はビニールケースに包んでファスナー付のポッケに大切に仕舞い込み、山道を川へと歩く。

 

 

1時間程の道中、汗をにじませつつ休み休み歩く。
この先に今日はどんな渓が現れるのか?
果たして魚は居るのか?
期待と不安が入り混じった、心地良い緊張感がそこにはいつもある。

 

 

ここ数年、私は山奥釣行を嗜んでいるのだが、その理由は二つ・・・
近年、私の周囲では容易にエントリー可能な渓は常に魚が枯渇気味と感じる。
それでは、当たり外れはあれど探検がてらに多少登山を要する山奥にでも入り込んだほうが魚影を期待できること。
そして何より、人気の無い山奥では過度な負のバイアス(人的プレッシャー)が掛かっていない魚の反応はとても自然的。時にその反応は“非常に容易い”とも思えるし、時に強烈にシビアとも思わせる。それが、釣り師の本能として、非常に心地良い。
何と言うのか・・・スレた魚を懐柔して攻略する快感とは異なる「駆け引きの無い、キレの良い爽やかな味わい」が、そこには存在する。
とりわけ、禁漁前ギリギリの既に初秋漂う山奥の渓では、自然のサイクルに寄り添い、刷り込まれた野生の本能に従って行動する魚達の「本来の姿」を一層明瞭に観取できる。そのことが、とても感動的なのです。

 

 

近年の長く尾を引く夏の陽気も下界とは隔絶された山深い渓には届かないらしく、澄んだ水は一雨度に冷え、益々その透明度を上げるともに締まり、そこに棲む彼らに「喝」を入れるかのよう。
そして水温の低下で秋の訪れを知らされ、産卵を意識する魚たち。結果、産卵と捕食に有利な居所を確保しようと競うように川を遡り・・・
そんな状況であろうと心を躍らせながら私は渓に降り立つ。
早速目の前に現れたお誂え向きの淵に、様子見がてらに GH44 BAT A FRY でヘビーな一撃を加えてみれば・・・あっさりと20cm程のイワナが顔を見せた。
若魚ながらも、冒険的に登ってきた苦労が報われたことに安堵♪

 

 

さて遡行を再開すれば、次々と現れる淵々に対し「深さ」や「流速の速さ」を考慮したウェイト選択で適切と思われるミノーを楽しみながらチョイスし、魚の反応を見ていくのですが・・・私は(昨年のブログでも触れた通り)経験上、産卵を意識して行動している魚は赤系統のルアーに好反応しがちであると考えており、この日も折々に実績のあるGH50 FlatSide(FS)のMレッドストリーム を試し投げるわけですが・・・何故か反応はイマイチ!?
ならばとナチュラルな印象のGH50 FlatSide(FS)の タクミ・ワカサギ を試すも依然として魚の反応は鈍く・・・。
しばし悩んだ末、「赤の派手さ」も「ナチュラルカラー」も効かないならば、少々やけくそ気味に「ド派手なインパクトのみの反応をみてやれ!」と選んだのがGH50 FlatSide(FS)のLZチャートバック・ヤマメ!

 

 

そうして、フラッシング以前の「黄色」というド直球なインパクトの LZチャートバック・ヤマメ を物は試しと投げてみたところ・・・早速小型のイワナが素直に釣れまして♪(笑)
今しがたまでの魚の反応と「嘘のように違う!」とまでは言えませんが・・・(笑)
明らかに反応は良い!先刻までと同様、2投目にも追尾してくる反応は、やっぱり起こりえないのだけれども、1投目の黄色(LZチャートバック・ヤマメ)にだけは、淵尻ギリギリまでチェイスし続けるほどの執着を見せてくれる。

 

 

小さなヒント・微かな期待を手にした所で、小型の滝が注ぐ、広さ・深さともに絶妙な淵に遭遇。
遡行開始から1時間程度、いい感じに両岸も狭まり、いかにも源流感がでてきたようなタイミングでもありました。
期待を込めてチャートのGH50 FlatSide(FS)を水に溶かす気持ちで対岸際にそっと着水させ、即座にアクションを開始!
視認性に長けた黄色い背が、滝からの流れに程良く押されながら綺麗に白泡の外側を舐めるように踊っていたところ・・・泡の中から突如黒く長い影が現れ、問答無用の瞬発バイト!!

 

GH50 FlatSide(FS)のLZチャートバックヤマメに反応した29cm

期待通りの展開に感動!(笑)
即座に反転し泡下へと逃げ込もうとする魚。WhipTwich をしならせつつ強引に引っぱり出す際に伝わる抵抗感が心地良い!
最後まで抵抗を試みる様は、如何にも岩魚らしく、人気のない自然に育まれて暮らし、傷や欠損一つ無い魚体は、やはり健康的で美しい!
計測してみたところ、惜しくも尺には届かないイワナさんであったが、いよいよ「釣り」が、渓谷の上流域に踏み込み始めたことを教えてくれる。

 

そして、そこからは美しい滝と淵のコンボが連続♪
釣竿片手に危なげなく遡行できるレベルの滝だったのは私にはありがたかったが、釣り人目線から見ても、たいした助走もとれない魚達は、この高低差の滝を昇ることは難しいだろうとも思えたのだが・・・
実際に竿を振ってみると、連続する滝下の淵々には、問題なく1匹づつ良型の岩魚がしっかりと潜み居ついていて・・・魚達の逞しさに驚愕♪

 

 

とりわけ深度があり、大物が期待できそうな淵に対して、適正ウェイトの必要性から、 GH51 HUMPBACK の タクミイワナ を投入してみたところ・・・
此処も着水から下流に向かって踊り下りだした GH51 HUMPBACK に対し、滝ツボ直下の泡下から、真っ黒な影が瞬発的に走り出し、追いかけバイト!
結果、やっぱり傷一つない美しい岩魚さん♪
サイズは、またも29cmと、なかなか大台に届かないのには焦らされるが・・・もう十分に、やがて行き着く先に確実にこの魚より大きい、この渓の王が控えているという自然の“秩序”、“摂理”に確信を抱いた。

 

 

そうして間もなく行き着いた、終点。
現れたのは、岩盤によって段々に形成された、高さ10m以上はある明確な魚止めの滝。
しかし滝の規模と比較して、落ち込みとなる淵は極めて小さく、一見大型の魚なんぞ潜む余地はないように思えるが・・・その淵全体を覆わんとする白泡を十分に怪しみ、油断せず、確信を以ってチャートバックのGH50 FlatSide(FS)を白泡の中に放り込み、即座にただ巻くと・・・
間もなくラインの先に生じた「ヌグ!」とした重みに間髪いれずにフッキングを見舞えば、突如水面が割れた。
茶黒く長い魚体を重々しく捻りながら現れたのは32cm!口元が「三ツ口」目指してしゃくれ始めた、この渓の若き王でした!

 

 

群れることのない個体同士で形成される、文字通り「喰うか!喰われるか!」のみの競争社会。
打算は効かず、忖度もありえない。世襲もできなければ、誰からの助力もなく、勿論裏金的なものも有り得ない。(笑)
魚達の・・・いや「野生」の正々堂々とした生存競争の姿は、とても残酷で公正で清清しい。
人里から離れ、人の介入が少なくなればなるほど、効率的により美しくシェイプされる自然の素晴らしさに感動し、惹かれ・・・結果として、また魚に会いに益々山奥まで介入してしまうのは、悲しいかな釣り人の性なのでしょうが・・・(苦笑)
どうかこの生存競争の一端を垣間見ることを赦してもらえるように、穢すことなく、いつまでも大切にしていきたいと願うばかりです。

 

 Tackle Dataタックルデータ

【Rod】GH57-3LS WhipTwich573
【Reel】2000番
【Line】PE 0.6号 + ナイロン4lb
【Lure】:GH50 FlatSide(FS)(LZ CHART BACK YAMAME)、GH44 BAT A FRY(GG HIGHLAND WAKASAGIⅡ)、GH51 HUMPBACK(TAKUMI IWANA)