自己の存在意義に執念と情念のありったけを注ぎ込み、生涯に与えられた時の大半を、カラダを張って生きていくことは容易ではない。いまのような利便環境がなかった時代から、ひたすらバスフィッシングの可能性とその振興に全身全霊を賭けて打ち込み、騒めく外野と果敢に戦ってきた男がこの世界にもう一人いるとするならば、それは間違いなく、今江克隆さんであろう。今江さんが浜松本社に訪問され、ロドリ撮影のため一緒に都田川ダムへ行った。
魚の上アゴを最速でとらえる「電撃」VS「タキオン」。核は同じだった。
そこから生まれた「コンバットスティック」VS「デストロイヤー」は、「チャンピオン」VS[ギャンブラー]、「ルールの中で結果を追求するトーナメント」VS「ルール無用の全国鬼釣りフルコンタクト」へと・・・互いのアプローチの違いを示す戦いへと発展。やがてそれは、今日に至る「バスフィッシングの多様性」を証明することになった。
現在の日本のバスフィッシングがみせる多様性と民主主義の展開は、「バスフィッシングの可能性」に賭けた両者の信念を賭けた戦いに端を発しているという人もいる。
お互い誤解されることも多いがそれを恐れない。いや、むしろそうした騒めきをバックウォーターに起こるボイルと同じくフィーディングチャンスと捉えるところもよく似ている。
なので、時として敵を生み出してしまう好戦的なキャラへと勝手に仕立て上げられてしまうこともあるが、実は純粋なチャレンジャーであり、子供のような無垢の探究心こそが行動の源泉であったりするところも。私の心根の、数少ない理解者でもある。
ロッド&リール7月号で用意された時間では足りなかったかもしれないが、互いが費やしてきた30年もの歳月が、二人の間に多くを語らずとも理解し合える深い関係性を醸成させていた。
5月26日発売のロドリ7月号、必見です!